studio malaparte
Edgeシリーズを、もっと多くの人に楽しんでもらおうと企画されたイヴェントに、Edge以外の上映作品、ゲストを交え、 マラパルテ独自の視点を導入した新たなリージョナル・シネマ・イヴェント。ポエトリー篇との共同企画など、 毎回、主催(共催)、テーマなどが変わり、変化に富む内容となった。 「鷺ポイエーシス」以降、島を離れたスタジオ・マラパルテは全国を横断して多元的、偶発的なイヴェントを開催した。
vol.1
in TOKYO (2001.7.9 @アテネ・フランセ文化センター)
vol.2
in HIROSHIMA(2002.9.14 @まちづくり市民交流プラザ)
vol.3
in KYOTO(2002.9.27-29 @ART COMPLEX 1928)
vol.4
in FUKUOKA(2002.11.16 @ニ・ニ・セ・フィニ)
vol.5
in SENDAI(2003.11.21-22 @せんだいメディアテーク)
vol.6
in NAGOYA(2004.12.11-12 @愛知芸術文化センター)
「Edge ―映画と詩の間、の旅」
『Edge~未来を、さがす。』放映開始記念+『燃えあがる映画小屋』(吉増剛造著/青土社)刊行記念
・日程: | 2001年7月9日 |
・場所: | アテネ・フランセ文化センター |
・主催: | Art Square |
・協力: | 青土社+スタジオ・マラパルテ |
●上映作品
『Celebrate CINEMA 101』
『Winter Oranges』
●座談会「映画と詩の間、の旅」
ゲスト 吉増剛造(詩人)+城戸朱理(詩人)+宮岡秀行
「目と耳の折り重なる場所」
映画作家の目による 映画作家の思考が奏でる音の彫像
・日程: | 2002年9月14日 |
・会場: | まちづくり市民交流プラザ 6F マルチメディアスタジオ |
・主催: | 広島市文化振興基金 |
・企画・制作:スタジオ・マラパルテ |
●上映作品
『Edge~未来を、さがす。』シネマトグラフ篇1~5
『Celebrate CINEMA 101』
『Winter Oranges』
『Victor Erice in Madrid』
●トーク「目と耳の折り重なる場所」
ゲスト 江代充(詩人)
1952年藤枝生まれ。広島大学教育学部ろう課程を卒業後、聴覚障害幼児教育に携わる。独自のエチカに裏打ちされた視線と、 認識の遅滞反復を負荷した言葉とを詩作に導き入れて注目される。 詩集:『みおのお舟』、『白V字 セルの小径』(第7回歴程新鋭賞受賞)、『梢にて』(第8回萩原朔太郎賞受賞)など。
*特別上映 『人生の幻影―ダグラス・サークに捧ぐ』(1984年/56min./16mm)
監督:ダニエル・シュミット
撮影:レナード・ベルタ
出演:ダグラス・サーク
●記念上映会『歩みつつ垣間見た美しい時の数々』(2000年/288min./16mm)
監督/出演:ジョナス・メカス
・日程: | 2002年9月7日 |
・会場: | 南区民文化センター |
・主催: | スタジオ・マラパルテ |
・協力: | メカス日本日記の会 |
「Edge in Kyoto~映画と詩の間」
・日程: | 2002年9月27日~29日 |
・場所: | ART COMPLEX 1928 |
・主催: | Art Square |
・企画制作:スタジオ・マラパルテ |
●プログラム
9月27日(金)オープニング・ナイト
〈Aプログラム〉
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9月28日(土)シネマトグラフ篇 作品への「生成(なまなり)」
〈Bプログラム〉
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9月29日(日)ポエトリー篇 生成する「言葉」
〈Eプログラム〉
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・日程: | 2002年11月16日18:00~ |
・会場: | ニ・ニ・セ・フィニ |
・主催: | ni, ni, c'est finis company |
●上映作品
「Video is our poet's stubby pencil...(ヴィデオはわれわれ詩人のチビた鉛筆だ)」
●対談
宮岡秀行+河村悟(詩人)
Edge in SENDAI「映画の言葉、詩の眼差し」
*当日の模様の一部は、『LIVE! Edge』「Edgeに拉致されて」に収録されています。
・日程: | 2003年11月21日~22日 |
・場所: | せんだいメディアテーク 7Fスタジオシアター+1Fオープンスクエア |
・主催: | 仙台文学館+せんだいメディアテーク |
・共催: | Art Square |
・協力: | テレコムスタッフ+スタジオ・マラパルテ |
●プログラム
11月21日 Opening Cinema Night
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18:30 | 20:00 |
上映 「HOTEL CHRONICLES」 「母モニカ」 |
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20:10 | 21:10 |
トーク 「人はなぜ、正面を見るのか」 ゲスト 城戸朱理+宮岡秀行+小川直人(せんだいメディアテーク学芸員) |
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11月22日
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10:00 | 11:00 |
デモ上映 「終わりなき山河」ゲイリー・スナイダー(詩人) |
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11:30 | 12:45 |
上映 「きみはヒロシマで何も見なかった―第一章―」 「飛之夢」 |
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12:55 | 13:40 |
上映 「ヴィデオはわれわれ詩人のチビた鉛筆だ」 「今、海はあなたの左手にある」 |
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14:10 | 15:10 |
デモ上映 「心に刺青をするように」「浦島太郎の目」吉増剛造 |
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15:10 | 16:10 |
シンポジウム 「眼差しから言葉へ」 ゲスト 白石かずこ+高橋陸郎+和合亮一+宮岡秀行+城戸朱理(司会) |
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17:05 | 17:55 |
上映+本人による朗読 「「シンゴー町」へ「シンゴー町」から」高橋陸郎 |
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18:05 | 18:55 |
上映+本人による朗読 「ユリシーズの運命、詩の行方」白石かずこ |
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19:30 | 20:30 |
上映 『Celebrate CINEMA 101』 |
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“Edge in Cinema”in Nagoya(「第9回アートフィルム・フェスティバル」特別プログラム)
7 Programs at the Edges of Cultural Frontiers エッジを測量する7のプログラム
Edge in...
ポイエーシス(創ること)の現場、その息吹を伝えるアート・ドキュメンタリー『Edge』。
この二日間は、“プライヴェートにして普遍”というテーマに関する選りすぐりの映画と、Edgeシネマトグラフ篇劇場版とが、
見境なく接しあう境界域(Edge)へと見るものを誘う。
シネマトグラフ篇全六篇とそれぞれに関連した映画で構成されたプログラムは、諏訪敦彦監督、ベアトリス・ダル主演の『H story』、
その諏訪監督がロブ・ニルソン監督と共に作った日米合作『Winter Oranges』、記念すべき第一回イメージ・フォーラム・フェスティバルグランプリ受賞の『MaMa』、
即興演奏家デレク・ベイリーを捉えた『One Plus One 2』など、愛知初上映作品が目白押し。
さらにドキュメンタリー『2H』や『味』で知られる李纓監督初の劇映画『飛呀飛(フェイ ヤ フェイ)』の日本初公開もあり、
愛知のみならず、全国の映画ファン注目のプログラム。
また、国内外のゲストを交えた記念シンポジウムでは“プライヴェートにして普遍というテーマ”を徹底討議。
“個人性”と“普遍性”がエモーショナルな化学反応を起こす7つのプログラムを、目撃せよ!
・日程: | 2004年12月11日(土)・12日(日) |
・会場: | 愛知芸術文化センター12階 アートスペースA 名古屋市東区東桜1-13-2 「栄」駅下車オアシス21連絡通路経由徒歩3分 |
・主催: | 愛知芸術文化センター |
・共催: | Art Square |
・企画: | 愛知県文化情報センター、スタジオ・マラパルテ |
・協賛: | 三菱電機株式会社 |
・協力: | 横浜美術館 |
■レポート「"Edge in Cinema" in Nagoya」 by 越後谷卓司
●上映作品解説
<プログラム1>
『飛呀飛(フェイ ヤ フェイ)』 |
「飛之夢~fly fly away~」 →詳細
『飛呀飛(フェイ ヤ フェイ)』日本初上映
2001/02年/中国・日本/35mm/92min.
監督:李纓(り・いん)
プロデューサー:張怡(つぁん・い)
撮影:張健(つぁん・ざん)
出演:芒克(まん・く)+寥亦武(りゃお・い・う)+張怡ほか
2001年ベルリン国際映画祭フォーラム部門公式出品作品
<プログラム2>
『H story』 |
「きみはヒロシマで何も見なかった―第一章―」 →詳細
『H story』
2001年/日本/35mm/111min.
監督:諏訪敦彦
撮影:キャロリーヌ・シャンプティエ
録音:菊池信之
出演:ベアトリス・ダル+町田康ほか
2001年カンヌ国際映画祭ある視点部門公式出品作品
<プログラム3>
『Winter Oranges』 |
「Video is our poet's stubby pencil...(ヴィデオはわれわれ詩人のチビた鉛筆だ)」 →詳細
『Winter Oranges』
2000年/日本・アメリカ/DVCAM/73min.
監督:ロブ・ニルソン
共同監督:諏訪敦彦
撮影:西原多朱
音響:アル・ニルソン
出演:鷺ポイエーシスII 参加者ほか
2000年ミル・ヴァレー映画祭公式出品作品
<プログラム4>
『One Plus One 2』 |
「HOTEL CHRONICLES(ホテル・クロニクルズ)」 →詳細
『One Plus One 2』
2003年/イギリス/DVD/47min.
監督:アンダース・エドストローム+カーティス・ウィンター
出演:デレク・ベイリー+カレン・ブルックマン
<プログラム5>
「母モニカ―for a film unfinished」 →詳細 | 『MaMa』 |
『MaMa』 |
『連続四辺形』 |
『連続四辺形』 |
<プログラム6>
[記念シンポジウム]“プライヴェートにして普遍というテーマ”
<プログラム7>
『「いまだ失われざる楽園」、あるいは「ウーナ三歳の年」』 |
「今、海はあなたの左手にある」 →詳細
『「いまだ失われざる楽園」、あるいは「ウーナ三歳の年」』
Paradise Not Yet Lost, or Oona's Third Year
1977/79年/アメリカ/16mm/90min.
監督/出演:ジョナス・メカス
出演:ウーナ・メカス+メアリー・デーレン+ニコラス・レイほか
<特別プログラム>
●記念シンポジウム・ゲスト
安藤尋(あんどう・ひろし) 映画監督。1965年東京生まれ。TVドラマやVシネマなどでも活躍する一方、『blue』(2001)は、2002年モスクワ国際映画祭での最優秀女優賞(市川実日子)受賞をはじめ、国内外の映画祭に招待され、ヒットを飛ばした。作品に『pierce LOVE&HATE』(1996)、『dead BEAT』(1999)、『ココロとカラダ』(2004)など。 |
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アンダース・エドストローム() 写真家・映画作家。1966年スウェーデン・フロッソ生まれ。デザイナーのマルタン・マルジェラと様々なコラボレーションを行ったり、アート雑誌モPurple“の創刊から関わるなど、ワールド・ワイドに活動を続けている。写真集に"spidernets places a crew" + "waiting some birds a bus a woman"(2004、steidlMACK)など。 |
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越後谷卓司(えちごや・たかし) |
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宮岡秀行(みやおか・ひでゆき) |
● タイム・スケジュール
12月11日(土) | ||
12:30 | 開場 | |
13:00 | 15:20 |
1.「飛之夢~fly fly away~」+『飛呀飛』日本初上映 | |
15:35 |
2.「きみはヒロシマで何も見なかった─第一章─」+『H story』 | |
18:15 | 20:15 |
3.「Video is our poet's stubby pencil...(ヴィデオはわれわれ詩人のチビた鉛筆だ)」+『Winter Oranges』 | |
12月12日(日) | ||
12:30 | 開場 | |
13:00 | 14:20 |
4.「HOTEL CHRONICLES(ホテル・クロニクルズ)」+『One Plus One 2』 | |
14:30 | 16:35 |
5.「母モニカ─for a film unfinished」+『MaMa』+『連続四辺形』 | |
17:00 | 18:30 |
6.“プライヴェートにして普遍というテーマ” 安藤尋、アンダース・エドストローム、宮岡秀行 司会=越後谷卓司 |
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18:40 | 20:40 |
7.「今、海はあなたの左手にある」+『「いまだ失われざる楽園」、あるいは「ウーナ3歳の年」』 | |
●料金(2日間通し)
1600円:資料代(『Edge 映画と詩の間』)実費相当
*すでに『Edge 映画と詩の間』をお持ちの方は無料となりますので、会場に必ずご持参ください。
*ヴィデオ作品は、三菱電機株式会社の協賛により、高品位ヴィデオ・プロジェクターでの上映となります。
●お問い合わせ
愛知県文化情報センター
tel 052-971-5511(内線724) fax 052-971-5644
Edge in Yokohama―スモール・ムーヴィーに捧ぐ
(「横浜美術館映画上映会「映画/アート」シリーズ3
日本|美術|映画 アートドキュメンタリー1930's-2000's」特別プログラム)
・日程: | 2006年3月4日(土)・5日(日) |
・会場: | 横浜美術館レクチャーホール 横浜市西区みなとみらい3-4-1 |
・主催: | 横浜美術館(横浜市芸術文化振興財団) |
・共催: | Art Square |
・企画: | 横浜美術館(横浜市芸術文化振興財団)、スタジオ・マラパルテ |
・協賛: | 三菱電機株式会社 |
●上映作品解説
<母型―絶対かつ不確かなイコンへ>
母モニカ―for a film unfinished→詳細 | 『MaMa』 |
MaMa |
家族のいる風景を描いた映画がある。設定としてのシングルマザーが、いつしか実際のシングルマザーへと変貌していく『母モニカ』。自分が似てきた母親と、日本に流れてきたという「母親の謎」をカメラ越しに見つめ、母への「準同一的」なまなざしが映し出される『MaMa』。19年前、この作品を江口から借りて自主上映した宮岡は、三好暁のなかに同じ「父性を欠いた」まなざしを見つける。この2つの作品は、同一のフレームを共有しつつ、内面においては分離した、まるで姉妹のような映画でもある。 |
<アレゴリカル・トリロジー―現代アジアの寓話集>
飛之夢~fly fly away~→詳細 | 『3つの雲』 |
3つの雲 |
ポリティカル・トリロジー *日本初公開 Trilogi politik 2005年/インドネシア/DVCAM(オリジナルベーカムPAL)/30min. 監督/ナレーション:ガリン・ヌグロホ *2005年度ロッテルダム国際映画祭公式出品作品 |
『ポリティカル・トリロジー』 |
現代のアジア諸国を寓話的な語りで綴る3本のトリロジー。李の日本未公開映画『飛呀飛(フェイ・ヤ・フェイ)』(2001)を追った『飛之夢』は、著名な詩人芒克ら出演者の証言をもとに、「金銭、手錠、亡霊」というモチーフを使い、現代中国が抱える病を鋭く抽出。雲にまつわる短編アニメーション『3つの雲』は、人と雲とが交わる様を黙示録的なタッチで描き、日常の時間を奇妙に変容させる。『ポリティカル・トリロジー』は、かつて植民地であったインドネシアが抱える様々な政治的矛盾や伝統の深さを、過去と現在、陸地と海洋の境界に立って、作者自らが語りかける。 |
<イコン―テクストとイメージが紡ぐ記号>
HOTEL CHRONICLES(ホテル・クロニクルズ)→詳細
すでに老いた彼女のすべてについては語らぬために |
『すでに老いた―』 |
青山真治の『すでに老いた…』を見てインタビューに臨んだ『HOTEL CHRONICLES』は、皇居を臨む東京ステーションホテルの一室でおこなわれた「映画の密談」をもとに構成されている。『すでに老いた…』は、敗戦後に書かれた中野重治の『五勺の酒』と夏目漱石のテクストをもとに、天皇制の問題と、その問題をナラティブなレベルで試行/思考した映画作家の肖像がモンタージュされる。天皇制のフィクショナルな寓意性を読み解こうとする作者青山真治と、映画への信念を語る青山真治がすれ違う、ドッペルゲンガーな二本立て。 |
<地の果てまで―原風景への道程>
遠くを見られない男 今、海はあなたの左手にある →詳細
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『遠くを見られない男』 |
作者にとっての原風景へと至るプロセスを描いた2本の映画がある。ひとつは、自らのトーテムを淘汰するため、カメラを持って橋(=トーテム)を渡る『遠くを見られない男』。そして映画『blue』(2001/監督:安藤尋)の原風景を映し出す『今、海はあなたの左手にある』。視覚についての自問自答を5つの形で展開する「橋の映画」と、土地の果てへと至るプロセスを5つの要素で描いた「海の映画」。オーネット・コールマンとヴァージル・トムソンのサウンドが遠くこだまするこの2本は、その残響に耳を澄ます映画でもあるだろう。 |
<空隙の映画-音と映像の交差路>
KASKARA LIVE at the SCENE―Architect Ryoji Suzuki→詳細 |
『KASKARA』 |
女性映像作家ドーレ・Oの『KASKARA』は、窓枠や扉越しに切り取られた垂直的なフレームと、フレームからフレームへ移行するレイヤーの空隙に、アンソニー・ムーア(スラップ・ハッピー)によるサウンドが水平的に交錯し、音と映像の境界線を揺さぶる。一方、自身の建築を通じて「空隙」の開放を試みてきた鈴木了二の建築に、ジョナサン・コウルクラウの地熱・鳴動系のサウンドが吹き抜ける『LIVE at the SCENE』には、光と闇、環境音と建築の境界はない。「空隙映画」という架空のジャンルをめぐる2つの考察。 |
<映画へ-制作者たちからの手紙>
Celebrate CINEMA101 →詳細 グリーンポイントからの手紙 *日本語字幕付き日本初上映 |
『グリーンポイントからの手紙』 |
映画生誕百年の1995年に、宮岡秀行は世界各地を巡り、いま映画を撮ることの意味を映画作家たちに問うた。彼らは自らカメラを廻し、それに応えていった。こうしてつくられた『Celebrate CINEMA101』の名付け親であり、「映画は百歳ではない!」と答えたジョナス・メカスは、今、同じロフトでカメラを廻しはじめる。この10年でなにが終わり、なにが始まったのか。映画のかぎりない若さを、自身のかぎりない老いとともに射抜く、メカスからの最新ビデオレター、日本語字幕付き初上映。 |
<ゲストプロフィール>
大久保賢一(おおくぼ・けんいち) 映画評論家。1950年東京生。1975年に雑誌「NEW CINEMA EXPRESS」を刊行、多くの自主映画を上映。80年代にかけて「ぴあフィルム・フェスティバル」の審査に関わる。各雑誌への寄稿のほか、カンヌ、ベルリン、ロッテルダム、ボンベイなどの映画祭に、審査員、プレスとして関わる一方、ガリン・ヌグロホなどアジアの監督からの信頼も厚い。著書に『荒野より。ウォーレン・オーツ』(立風書房)、『カルチャー・スタディーズ 映画:二極化する世界映画』(朝日出版社)など |
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辻直之(つじ・なおゆき) アーティスト/映画監督。1972年静岡生。インスタレーションや平面、アニメ映画を通じ、アンダーグラウンドな活動に没頭。2002年岩崎ミュージアムにて個展。バンコク、ソウル、ロンドンなどの映画祭に出品。2003年より非営利の映画上映会「ぺぺ馬場キネマ劇場」主催メンバー。木炭画の短編アニメが評価され、2004年『闇を見つめる羽根』、2005年『3つの雲』がカンヌ国際映画祭監督週間に招待される。作品に『覚めろ』(1992)、『experiment』(1997)など。 |
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鈴木了二(すずき・りょうじ) |
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安藤尋(あんどう・ひろし) 映画監督。1965年東京生。フリーの助監督を経て、デビュー作のピンク映画『超アブノーマルSEX・変態まみれ』(1993)で93年度NEW ZOOM-UP映画祭新人監督賞を受賞。TVドラマやVシネマなどでも活躍する一方、『blue』(2001)は、2002年モスクワ国際映画祭での最優秀女優賞(市川実日子)受賞をはじめ、国内外の映画祭に招待され、大ヒットを飛ばした。作品に『pierce LOVE&HATE』(1996)、『dead BEAT』(1999)、『ココロとカラダ』(2004)、『ZOO』(2005)など。 |
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↓
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*3月5日(日)のトークライブのゲストとして予定されていた安藤尋監督は、諸般の事情により、参加不可能となりました。当日はゲストとして、新たに宇野邦一氏が参加されます。 | |
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宮岡秀行(みやおか・ひでゆき) |
● タイム・スケジュール
3月4日(土) | ||
13:00 | 開場 | |
13:30 | 15:20 |
母モニカ+MaMa | |
15:30 |
飛之夢+3つの雲+ポリティカル・トリロジー | |
17:15 | 18:15 |
トークライブ 大久保賢一、辻直之、宮岡秀行 | |
18:30 | 20:00 |
HOTEL CHRONICLES+すでに老いた彼女のすべてについては語らぬために | |
3月5日(日) | ||
13:00 | 開場 | |
13:30 | 14:40 |
遠くを見られない男+今、海はあなたの左手にある | |
15:00 | 15:50 |
KASKARA+LIVE at the SCENE | |
16:00 | 17:00 |
トークライブ 鈴木了二、宇野邦一 司会:倉石信乃(横浜美術館学芸員 ) | |
17:15 | 19:35 |
Celebrate CINEMA 101+グリーンポイントからの手紙 | |
*全作品日本語字幕付き
*ゲスト・プログラム・開始時間等は、変更になる場合があります。
●料金
1日券¥1,000
2日券(書籍『Edge 映画と詩の間』持参または購入の方にのみ販売)¥1,000
●お問い合わせ
横浜市美術館 tel 045-221-0300(代)
スタジオ・マラパルテ
Edge in Osaka―スタジオ・マラパルテによる映画史
2006年3月、横浜美術館にて大量動員を記録した「Edge in Yokohama―スモール・ムーヴィーに捧ぐ」をうけ、 急遽開催が決定した「Edge in Osaka―スタジオ・マラパルテによる映画史」。 アートドキュメンタリー番組『Edge』のプロデューサーであり、スタジオ・マラパルテ主宰の宮岡秀行の活動は、 『Celebrate CINEMA 101』から10年の軌跡を描いてきました。 国籍や資質を異にする映画人同士の共同作業を軸とし、そこからうまれた『Edge』をここ大阪で初上映。 宮岡の友人であり師であるメカスやソクーロフの知られざる傑作、ヌグロホやゴランのポリティカルな作品をEdgeとカップリングし、 さらにエリセが絶賛した『Celebrate…』の新ヴァージョン、東京アップリンクでレイト公開され2週間で千人以上を動員した、 話題騒然の『リュック・フェラーリ―ある抽象的リアリストの肖像』など、ほとんどが関西初上映となる作品を、 メカス、フェラーリ、ソクーロフと直接交流のあった3名のゲストを交えて上映する、スタジオ・マラパルテによる7日間の映画史です。
・日時: | 2006年5月13日(土)~19日(金)連日20:30~ |
・会場: | シネ・ヌーヴォ 大阪市西区九条1-20-24 tel 06-6582-1416 |
・主催: | シネ・ヌーヴォ |
・共催: | Art Square |
・企画: | シネ・ヌーヴォ、スタジオ・マラパルテ |
■レポート「Edge in Osaka―スタジオ・マラパルテによる映画史 への手紙」 by 栃尾充/宮岡秀行
●上映作品解説
<5/13(土)>
グリーンポイントからの手紙 覆面上映:『外套』製作ラッシュ(監督:ユーリー・ノルシュテイン) talklive:宮岡秀行(映画作家/スタジオ・マラパルテ主宰) 聞き手:海老根剛(大阪市立大学講師/カイエ・デュ・シネマ ジャポン) |
ジョナス・メカスは自らを監督とは呼ばない。冗談を交えて「私はフィルマー(filmer)だ」と云う。友人がつくった作品、優れたアンダーグラウンド映画(彼は実験映画という名称が嫌いだ)を、自ら主宰するアンソロジーで紹介し、合間を縫っては自分のフィルムを繋ぐフィルマー。『Celebrate CINEMA 101』の名付け親であり、「映画は百歳でない!」と応えたメカスは、今、『Celebrate…』と同じロフトでカメラを廻しはじめる。『Celebrate…』で息子セバスチャンと踊った父メカス。最新作は、成長したセバスチャンの長いカットからはじまり、自身の限りない老いとともに映画を撮り、人々が集い、そして家族が別れていくことをもセレブレーションする。「真の映画史は目に見えず、映写の度に生まれる」という彼の自由な精神は、今回のスタジオ・マラパルテによる映画史にも受け継がれるだろう。 |
<5/14(日)>
リュック・フェラーリ―ある抽象的リアリストの肖像→詳細 |
ほとんど何もない―リュック・フェラーリと共に* |
音楽家リュック・フェラーリは、メカス同様、あらゆるカテゴライズからこぼれ落ちてしまう人だ。彼のヒューモアと逸脱ぶりを、ホームムーヴィーのように記録し、また音楽家の創作と日常の静かな喧噪を、妻ブリュンヒルトとの時間から描いた『ある抽象的リアリストの肖像』と、フェラーリの親友で、音楽学者のジャクリーヌ・コー(『ある抽象的リアリストの肖像』にも出演している)が共同監督した『ほとんど何もない』は、ほぼ同時期に作られた作品だが、後者は、あくまでパブリックな音楽家として撮られている。器楽作曲家やインスタレーション作家としてのフェラーリの多面性が、ジャクリーヌの作品で補われ、この2本を同時に見ることによって、人として、アーティストとして魅惑的なフェラーリの、プライヴェートにしてパブリックな像を感じとることが出来るだろう。 |
<5/15(月)>
飛之夢~fly fly away~→詳細 |
ポリティカル・トリロジー Trilogi politik 2005年/インドネシア/DVCAM(オリジナルベーカムPAL)/30min. 監督/ナレーション:ガリン・ヌグロホ *2005年度ロッテルダム国際映画祭公式出品作品 |
孤独な傑作『2H』(2000)で知られる李纓の未公開の劇映画『飛呀飛(フェイヤフェイ)』(2001)を追った『飛之夢』は、著名な詩人芒克ら出演者の証言をもとに、「金銭、手錠、亡霊」というモチーフを使い、現代中国が抱える病を現地でロケした作品だ。北京語をほとんど解さない私たちは、タクシーの中や宴の席であってもキャメラを廻し続け、彼等が抱えていた恋愛関係のもつれと、これら社会的なモチーフの接点を探った。一方、2005年のロッテルダム映画祭で見たガリン・ヌグロホの『ポリティカル・トリロジー』はかつて植民地であり、スハルトの独裁政権下で苦しんだインドネシアの抱える政治的矛盾や伝統の深さを、作者自らが語りかける。現代のジガ・ヴェルドフ集団とも云うべきヌグロホのグループや、李のスタンスから見てとれるのは、映像を通じて国民が自己を投影でき、映画が、単純化を打ち消すようなデモクラシーを獲得するための激しい闘争でもあるだろう。 |
<5/16(火)>
ポトとカベンゴ 今、海はあなたの左手にある →詳細 |
ゴダールと共にジガ・ヴェルドフ集団に加わったゴランは、ゴダールとのコンビを解消した後、この映画の主人公であるポトとカベンゴという姉妹に、自らとゴダールの関係を投影した。互いにしか通じない特殊な言語で会話し、浮かび上がるふたりぼっちの世界は、まるで当時のゴランとゴダールのようであり、モーツァルトの『幻想曲』を効果的に使った構成から、別れざるを得ない「2人」という寂しい数へのレクイエムのようでもある。そのゴランの助人として映像ワークショップ「鷺ポイエーシスV」で、ゴランと関わった安藤尋の『今、海はあなたの左手にある』は、映画『blue』(2001/監督:安藤尋)の原風景を映し出す。その映画の主人公、遠藤と桐島もまた「2人」という濃密な関係であり、テクストとして引用されたデュラスの世界も、ヤン・アンドレアとの生活がトレースされたふたりの世界だ。ゴランと安藤の極めてパーソナルな世界から立ち上がる、「恋愛の終わり」が世界の果てに木霊する。 |
<5/17(水)>
MaMa |
母モニカ―for a film unfinished→詳細 |
家族のいる風景を描いた映画がある。京都造形大学大学院の卒業制作として準備され、設定としてのシングルマザーが、いつしか実際のシングルマザーへと変貌したことで、卒作という枠を越え完成した『母モニカ』は、2005年のロッテルダム映画祭でも高く評価された。自分が似てきた母親と、母親の過去をカメラ越しに見つめ、第1回イメージフォーラムフェスでグランプリを受賞した『MaMa』。この二つの作品は、同一のフレームを共有しつつ、内面においては分離した、まるで姉妹のような映画であるだろう。19年前、江口幸子からこのフィルムを借りて自主上映した私と青山真治は、江口の8ミリ映画から濃厚に立ち上がる「母権性」のようなものに圧倒された。また三好暁に、江口と似た「父性を欠いたまなざし」を見出した『母モニカ』は、『MaMa』に映し出される江口が生まれ育った日南海岸の潮風を、淀川の風へと生成変化させていった。 |
<5/18(木)>
LIVE at the SCENE―Architect Ryoji Suzuki→詳細 フラット・コージンツェフ talklive:中谷礼仁(建築史家/歴史工学家) 聞き手:西原多朱(スタジオ・マラパルテ)→宮岡秀行 |
映画制作を一つの建築に喩えたとき、ソクーロフは「屋根」から建てると鈴木了二と中谷礼仁に話した。1999年の映像セミナー「鷺ポイエーシスIII」でのことだ。その時に上映され、衝撃を与えた『フラット・コージンツェフ』。ゴダールが『リア王』(1987/監督:ジャン=リュック・ゴダール)で、俳優に映画監督コージンツェフを演じさせ、実際に作られたコージンツェフの名作『リア王』(1971)の音声を使用したように、ソクーロフのこの作品では、コージンツェフが描いたシェークスピアの世界が、まるでコージンツェフ夫人の背後霊の如く鳴り響く。島を去るときソクーロフは、「この建築家は近いうちに優れた日本建築を建てる」と予言した。その鈴木了二の集大成的な大作『金刀比羅宮プロジェクト』をいち早く撮影した本作は、鈴木のあらゆる建築的営為を光と影とサウンドの饗宴として紹介する。 |
<5/19(金)>
HOTEL CHRONICLES(ホテル・クロニクルズ)→詳細
Celebrate CINEMA101 →詳細 |
『HOTEL CHONICLES』には、まだ長髪の青山真治が、ギターをかき鳴らすカットが数秒挿入されている。2006年に公開された『エリ・エリ・レマ サバクタニ』(2005/監督:青山真治)の浅野忠信が二重映しとなって見えてくるこのカットで青山は、『Helpless』(1996/監督:青山真治)のテーマを弾く。その『Helpless』前夜、『Celebrate…』に参加するため、一夜にして撮り上げた「1/5」は、おそらく青山のパーソナルな面が出た最高作のひとつだろう。『Celebrate…』は、映画生誕百年の年、いま映画を撮ることの意味を、各々が思考し、撮影したものだが、作家性と資本性を切り結ぶようなオムニバス映画とは逆に、全員が無報酬で関わった一回限りの映像のアソシエーションだった。発表当時、シネ・ヌーヴォ梅田の最後のプログラムで紹介された本作は、その後、改訂を重ねた。参加監督のなかには、もう声を聞くことができなくなった映画人もいるが、今もわれわれは、「死者と未来者のために」スクリーンを照らし続けている。 |
*プログラム解題:宮岡秀行
*全作品日本語字幕付き(*日本語字幕ナシ。当日解説書配布)
<ゲスト プロフィール>
椎名亮輔(しいな・りょうすけ) 音楽美学。1960年東京生。東京大学卒業後、パリ第8大学音楽学部にて、ダニエル・シャルルに師事。音楽に関する重要書の翻訳を手掛け、本年にはジャクリーヌ・コーが執筆した、リュック・フェラーリのインタビュー集『リュック・フェラーリと ほとんど何もない』(現代思潮新社)を翻訳している。現在は同志社女子大学助教授として教鞭を執る。著書に『音楽的時間の変容』(現代思潮新社)、訳書にマイケル・ナイマン『実験音楽』(水声社)など。 |
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中谷礼仁(なかたに・のりひと) 建築史家/歴史工学家。1965年東京生。早稲田大学卒業後、清水建設設計本部に入社。その後大学に戻り、現在は大阪市立大学建築学科助教授。横断的ワークショップ参加多数。また編集出版組織体・アセテートを立ち上げ、建築を中心に知られざる良書を世に送り出している。本年には鈴木了二のエスキース本『July2001~May2004 Experience in Material No.47 Project Konpira』を出版。著書に『セヴェラルネス事物連鎖と人間』(鹿島出版会)、『近世建築論集』(アセテート)など。 |
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宮岡秀行(みやおか・ひでゆき) |
*ゲスト・プログラム・開始時間等は、変更になる場合があります。
●料金
当日 ¥1,000
シネ・ヌーヴォ会員+書籍『Edge 映画と詩の間』持参または購入の方 ¥800
●お問い合わせ シネ・ヌーヴォ tel 06-6582-1416